第11章 The Clone Wars.5
「そうだと良いけれど。ジェダイオーダーに忠誠を誓ったことを忘れないで。貴方は大事な弟子なのだから。」
「もちろんです。マスターと同じようにアナキンやオビワンの事を大切に思っています。」
「そう信じています。私は部屋に戻りますから、貴方も早く体を休ませて。」
「はい、マスター。おやすみなさい。」
どれだけ用意周到に隠しても、見る人が見ればわかるということだ。
エキドナはすっかり冷や汗で濡れてしまった背中を服で拭うと、立ち上がる。
すると、誰かに見られていることを察して後ろを振り向いた。
「誰?」
「ドミノ分隊所属、CT-5555です将軍。」
「あぁ、あの。」
ドミノ分隊とは、統率力に欠け、メンバーが各自勝手な行動を取ろうとするためシミュレーション戦闘の成績が悪いトルーパー候補生分隊だ。
ドン引きする程に統率の取れない彼らは、エキドナもその名を覚えるほどだった。
「名前はなんていうの?」
「え?あぁ。ファイヴスです。」
「5555だからね。いい名前。」
「ありがとうございます。」
もちろんクローンの施設にいる以上クローン達と関わることは少なくなかったが、こうして一対一で話すことはこれが初めてである。
「どうかした?」
「その、本物の戦場はどんなものなのか気になって。」
「まず貴方たちの連携をどうにかしなきゃ、戦場にも行けないけどね。」
シャアクティに皮肉を言うわけにもいかず、久しぶりに放った皮肉に懐かしくなる。
「あんなシュミレーションよりうーんと厳しいよ。うちの分隊は特に突撃部隊だから激戦区の最前線。なんども仲間を失った。」
「ジェダイをですか?」
「クローン達をよ。」
「クローンが仲間ですか?」
「もちろん。最初来たときは皆、捨て駒扱いされると思ってるみたいだけど、私は仲間だと思ってる。戦友ね。」
エキドナの右腕、ハンフリーと声も顔もあまり変わらないのに、どこか違う彼。それがクローンの素晴らしいところだとエキドナは思っている。
皆同じ遺伝子のはずなのに、タテゥーや髪型、それから話し方まで全く違うのだ。
いうなれば一卵性双子でも仲良くなれば見分けがつくような、そのようなニュアンスだ。