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陽の沈む夜に。

第10章 歌小説 片思い miwa



貴方に恋していいですか?


自分が彼を愛していることを知ったら、彼はどうするだろうか。
生真面目な彼だ。ジェダイ評議会へ相談を申し出るか、距離を取られる。
BADENDは免れない。

片思いなら、彼に伝わらないなら、
どうしようも出来ないほどに愛しいこの気持ちを、肯定してもいいのだろうか。

「エキドナ?…エキドナ?」

「ん?」

支配する気持ちで彼の言葉がまた耳に届いていなかったエキドナは、ふと現実に帰って返事をする。

「疲れているようだな。出発は明後日だ。また明日にしよう。」

「あぁ…ごめん。今は集中できないみたい。ごめんね。」

”あなたのせいでね。”
そう心の中で付け足すと、立ち上がる彼を見て、たたんでおいた彼のローブを渡す。

「いや、いいんだ。時間はたっぷりあるからな。また明日。」

彼を見送ってついていたホログラムプロジェクタの電源を切ると、彼の先ほどまで使っていたカップが目に入る。
大事に大事にそのカップを見ると、大きなため息が出てきた。



きっと話が進まなくて困っていただろう。
ジェダイとしてあるまじき行為だ。
ジェダイマスターにもなって情けない。
新人ナイトと駆け落ちした、イニシエト元同期レフティをどこかでバカにとまではいかなくても引き目で見てしまっていたエキドナが今その状況に陥っては毎日頭を抱えている。
任務の時は切り替えることができても、あのように彼と2人きりになると集中できない。
いつも彼はそれを心配してくれるが、その心配がまたエキドナの期待を煽った。



起きていても寝ていても彼のことばかり。
彼女のプライベートを支配する恋愛感情は、願っても叶うことがない。
全宇宙の奴隷を助けても、かなわない。



貴方に恋したせいですか?

彼のすべてが知りたい。減るどころか加速していく想い。
こうした時間に、彼が一秒でもエキドナのことを考えてくれたらいいなと。
そう淡い恋心を抱えたまま、エキドナは夢の世界へと落ちていった。

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