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陽の沈む夜に。

第10章 歌小説 片思い miwa



ブロンドの光に反射するまつ毛。

時折考えるたびに触られる髭。触る大きな手。

そして刻まれる眉間の皺。


聖堂の食堂がやっと落ち着きを取り戻した昼下がり。
先ほど弟子同士での訓練にアナキンを見送ったジェダイマスター2人、当時27歳、30歳。
まだ「よき友」”だけ”の関係であったエキドナとオビワンは、次の任務の作戦会議をしていた。…が、上記の通りエキドナの目線は図面でもタブレットでもなく彼ただ一人。

「エキドナ?聞いているか?」

「え?うんごめん聞いてない。」

まったくと言っていないように聞こえてくるようなオビワンの声とともに合う視線。
彼は全く持って真剣なまなざしで見つめるが、エキドナは感情を隠すことに精一杯である。

「パン、ついてるよ。」

彼のチャームポイントに乗っかるパンくずを見ると、話をごまかすように手で払う。その手先が熱をもって震えていることなんてエキドナはとっくにわかっていた。

目が合ってしまうたびに、声を聴くたびに、心臓がきゅうっと大きな鼓動と共に締め付けられた。



ねえオビワン。私はうまく表情を隠せてるかな?

そう心の中で彼に問う。
いっそ聞いてしまえば自分は楽になるだろう。
でも彼は困った顔で「どうかしたのか。」と心配を始めるだろう。
彼の描く未来に恋愛が必要ないことは、とっくにわかっているはずなのに。



「あぁ、すまない。少し休憩をするか?」

「うん。おなか一杯だし暖かいから眠くなってきた。」

自分の部屋であることをいいことに床に足をつけたままベッドに倒れこむ。
するとなんとあろうことか。ベッドの端に座って珈琲をすする。
いままで座っていた地べたに座ればいいものを、彼はわかってやっているのだろうか?
エキドナはわかってやっていないほうに10クレジットかけた。

…彼が勇気を振り絞ってとった行動ということも知らずに。

寝そべった事故顔を見られるわけにはいかないエキドナは急いで飛び起きると、自然とオビワンと目が合う。
大人っぽい珈琲の香りが立ち込めては、彼の唇を求めてしまう。
そんな淡い思い、かなわないのに。


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