第7章 The Clone Wars.2
名残惜しいが暖かいドロイド駐屯地を出て、スピーダーに乗り込む。
冷え切ったスピーダーを出る10分前にエンジンかけておいてよかったと心底思ったエキドナである。
2人乗りのスピーダー。だいぶ寒さに慣れてきた上に機嫌のすこぶる良いエキドナは、運転席に乗り込む。
後ろにオビワンが乗ったことを確認するとハッチを閉めて、公務を始める前のキスをせがんだ。
当たり前のようにその要望に応えたオビワンに、エキドナの機嫌がまたよくなる。
終始ニコニコ笑顔のエキドナは、鼻歌交じりにスピーダーのアクセルを踏んだ。
「少し飛ばしすぎじゃないか?」
「障害物も対向車もいないんだからいいでしょ。」
そんな話をしながらあらかじめスキャンした地形レーダーを頼りにスピーダーを走らせた。
…程なくして、大きな谷と対岸と渡される石橋が白い景色から現れる。
そしてその奥に光るなにかが一体何なのか、その正体を知るのはそう難しくはなかった。
「この事件の真犯人のお出ましのようだ。」
「通訳ドロイドなしで大丈夫?」
エキドナらよりうんと大きい生物は、ふわふわの毛皮に覆われ、いくら寒くてもそれはそれは暖かそうである。
2人がスピーダーを停めてハッチを開けるころには槍を持った生物にすでに囲まれており、攻撃をされれば反応できるようにはしているものの、2人ともセイバーを構えることはなかった。
「興味を持ってるみたいね。」
「ドロイドやクローンは彼らを挑発してやられたんだろう。」
そのまま奥の祠へ通されると、中にはこの雪の惑星にはうれしい焚火と、重鎮であろう生物がその炎を囲っていた。
エキドナとオビワンの礼から始まった、3POなしでの平和会談は、皮のようなものに木の棒で傷をつけることによる絵での会話で始まる。
どうやら彼らはドロイド達にとても怒っているようだ。
「我々は平和を求めてやってきた。」
オビワンが人間の言語でそのままいうが、まあ到底通じることはない。
エキドナは近くにあった皮と木の棒で、人と人が握手をしている絵を描いて見せた。
どうやらエキドナの絵心は悪くないらしく、伝わったようで相手側は機嫌がよくなる。
しまいにはエキドナなんてモフモフそうな毛皮を触らせてもらった始末である。