第1章 The Phantom Menace
「ご協力ありがとうございました。」
水中プラットフォームまで連れてきてくれたグンガへエキドナは丁寧に挨拶をすると、すぐにグンガは踵を返し戻っていった。
エンジンをつけ、大人(?)4人には狭すぎる中出発するボンゴ。音からして明らかに嫌な予感がする。
「もうダメだ。おっ、ゴバフィッシュだ!」
ジャージャーは気分を上げ下げしながらボンゴを揺らしている。
怖いのか楽しいのかどちらかにしてほしいものだ。
「なぜ追放されたんだ。」
「長い話になるけど、かいつまんで言うとおいら不器用なのよ。」
「不器用なせいで追放されたのか?」
「多分そういうこと。おいら、1つか2つちょっとした事故を起こしちゃったのよ。
ガスが爆発しちゃって、ボスのヘイブリバーが台無し。それで追放されたのね。」
そんな話をしていると、岩壁の間から大きな魚が口をあけた。咄嗟に、エキドナはオビワンの手の上からハンドルを操作し、2人の間に変な空気が走る。
「うわあ!でかいゴバフィッシュだ!大きな歯がっ!」
しかし、ジャージャーの声に心臓を高鳴らせる暇もなく現実に戻される。間一髪で食べられることなく脱出するが、まだその生物はこちらへついてきた。
「多分あれは母親ね。後ろに子供がいる。」
「子供を守ってたのか。」
クワイガンがそういうと、追いかけてきていた生物は、他の何百倍もある生物に捕食されてしまった。
目の前で弱肉強食を見せ付けられ、不穏な空気がボンゴの中で漂っていると、クワイガンは呆れたように言葉を続けた。
「上には上がいるものだ。」
「早く帰ろうよ。」
ジャージャーはしょぼくれた顔をして、クワイガンに目で訴える。
「心配はいらん。フォースが我々を導いてくれる。」
「ああ、偉大なるフォースね。ちょっと胡散臭いけど。」
ジャージャーがいらついたように皮肉をごねると、船内の明かりが落ちエンジンが止まってしまう。
「パワーが切れました」
オビワンのため息をつく姿を横目にエキドナはメインエンジンの操作盤を開く。
「水死だけは勘弁したいね。」
エキドナは先ほどの事があり伏し目がちにエンジンのバイパスを繋ぎ直し、予備装置を起動させながら言った。