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神室町の女探偵【JUDGE EYES】

第2章 【同業者】


「ちょーっと待ってくんない?依頼主って…もしかしてアンタも探偵ってこと?」
『そうなりますね。』

男は少し考え込んだ後ふと何かに気づく。
そして鵜沢の元へ向かう香の肩を掴んだ。

「って事はそれは困るなぁ。俺たちも借金取り立てってことで依頼受てんだよ。その男からお金を返してもらわなきゃいけない。」
『へぇ…、それはそれは。じゃあここはレディファーストってことで。』
「いやいや。レディファーストが通用するなら純粋に先着順ってのも考慮してくれても良くない?」

香は自分の肩を掴む手を鬱陶しそうに払い除けると男を小馬鹿にした風で笑った。

『貴方、いつから探偵やってるんですか?事務所開いたのはいつ?』
「何、もしかして探偵ってやつは年功序列なわけ?…ヤクザ業界かよ。」
『そもそもこの同じ神室町に探偵事務所を開くという時点で私たちへの挑戦状が送られたとお見受けしますが。』
「それはどうもすいませんでした。っていうかさ、良いの…?」
『何ですか。』

男が親指で指した方向には隙を突いて逃げようとしていた鵜沢の姿。

「俺らがずっとここで言い争いしてたらコイツ逃げちゃうけど。」
『…それもそうですね。では話し合いは取り押さえてからにしましょう。』

そう言ってにじり寄る2人に鵜沢は不敵な笑みを浮かべると、目の前に背後に隠し持っていた発煙筒を投げつける。

「じゃあなっ!」

紫色の煙を放つソレは猫騙しには十分だった。

『っ…⁈』
「わっ⁈何でそんなもん」

その隙に逃げる鵜沢を慌てて追い出す香と革ジャンの男…。
これから長いチェイスが始まろうとしていた。

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