第25章 独占欲
「グッ!?ゴホッ、首!首絞まってる!何すんだ!」
「すみません塚本先生、次移動教室なの忘れてました。失礼します」
「あ、ああ、そうか。またな2人とも」
気づいたら千冬の制服の襟を掴んで引っ張っていた。苦しそうに咳き込む千冬はいいとして、先生に少し失礼な態度をとってしまったかもしれない。ああ、何してんだろう俺。
「おーい」
「…」
「さーん」
「なんだ」
「次、移動教室じゃないぜ」
「ああ、そうだな」
隣にいる千冬がどんな顔をしているかなんて、見なくてもわかる。
いやらしく愉快そうに話しかけてくる彼を今一発殴っても神は許してくれるはずだ。
「もしかして」
「あ?」
「妬いた?」
その言葉に立ち止まれば、千冬も同じようにピタリと立ち止まる。本当に犬みたいだ。
「ってぇ!!!」
足を思い切り、踏みつけてやった。
声を上げる彼をみながら、飼い犬の躾は主人の役目なんだと心の中で正当化する。
「ってー…マジで踏んだなお前!」
「そうだよ」
「そうだよじゃねえっての!」
「じゃなくて」
踏まれた方の足を上げ痛がる千冬の方へと振り返る。
「妬いたよ。……悪ぃかよ」
ああ、俺今、どんな顔してんだろ。