第26章 秋
「お前なぁ、いつも唐突なんだよ!」
「悪かったって」
「思ってないよな絶対。ほら、とっとと帰んぞ」
いつもより急ぎめに歩く彼の後を追う。
その耳は赤く染まっていて、愛おしさで胸がいっぱいになった。
「」
「なんだよ」
―――楽譜、本当は隠されたんだろ。
「……今年は楽譜忘れんなよー?」
「お前まで言うか。つーか、俺のことよりお前次合唱中に考え事してたらしばくからな」
「は!?なんでわかったんだよ!!」
「バカだな、あんなの誰がみてもすぐ分かる。口半開きで動いてねーし目は上の空だしなめてんのか?」
「もう絶対しません!」