第24章 伝える②
残りのたこ焼きとホットドックを食いながら、隣で幸せそうに綿あめを頬張るを見る。
「ふわふわ…!あま!うまっ!」
「……あーもう。かわいすぎ」
「なっ!み、みてくんな!食いづれえ!」
体育の時、かっこよすぎだと言って目をそらして逃げた時のこと、保健室での出来事、そして今日の事。
普通なら脈アリを確信するが、の場合はよくわからない。初めての友情をついこの間知り、そのうえ唯一出来た友達が抱いていたのは実は恋心だったなんて、さっき自身が言っていたように本人もまだよくわかっていないはずだ。
とりわけオレは、はたから見たら驚かれる程かなり近い距離感で彼に接していた。
今思えば悪いことをしたと思う。
「お前さ」
「ん?」
「怒んねえの?」
「は?何をだ」
頭上にはてなマークを浮かべ、きょとんとした顔でこちらを見た。気分は害していないようだ。
「……オレ、お前に散々友達って言ってたくせにホントは下心あったとかさ、嫌じゃねーのかよ」
「あ?だとしても友達だろ俺ら。恋心でも友情でも、俺を好きって思ってもらえんのは嬉しいぜ。ちょっと…だいぶ照れるけど」
「……そっか」
「でも無理矢理キスしたりすんのはやめろ」
「すみませんでした」
友情と恋心はまったく違う。だけど、こいつにとってはどちらも「好き」という感情で、人から好かれるという行為は彼がこれまで喉から手が出るほど欲しがっていたものだ。
だから、今はこれでいい。
どんな理由であれ、同性である自分のこの気持ちを受け入れてくれた。それがどれだけありがたいことか。
「うまかったー。なあ、たこ焼きまだ残ってるか?」
「全部食った。お前いらねーっていったじゃん」
「言ったけど!甘いもんくったらなんかしょっぱいの食いたくなったんだよ」
「ったく…顔色良くなってるけど、体調良くなったか?」
「ああ、バッチリ。なあ、焼きそば食いたくね?パッと買ってまたここで食おうぜ!ここなら静かだし」
「ははっ、お前案外食い意地はってるよな。なんでそんな細ぇの?」
「知らねーよ、俺が聞きてえわ。ほら、さっさと行こうぜ」
「はいよ、お姫様」
オレ、お前がめちゃくちゃ好きだ。