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【東リべBLD】君の鼓動を旋律に【松野千冬】

第3章 友達





「それ、オレが持つから」
「……あそ」

清掃の時間。
前までは面倒で仕方なかったこの限られた時間が、今では何よりも楽しみになってしまっている。

「」
「なんだよ」
「オレと友達になろーぜ」
「俺は不良が嫌いなんだよ。死ね」
「お前なぁ…もっと断り方があるだろ……」
「……………怒んねえんだな」

思わず振り返ってを見る。

「普通は嫌いになるだろ、こんな口悪いの」
「……まあな。オレも最初はお前の事よく分かんなかったぜ。
でも、話すようになってわかった。
お前ホントはいいやつだろ」
「なっ…!?」

あ。
耳まで赤くなった。

今どんな表情してるんだろう。
無性に見たくなった。

「眼鏡、外せよ」
「は、なんでだよ、てか今は無理」
「駄目、今のお前の顔が見たい」
「ばか、やめろっ…!!」

静止を振り切って眼鏡を外すと、両手で顔を隠した。
ああ、仕草まで本当に可愛い。なんだこれ。
嫌がっているのが明らかだというのに、止められない。

眼鏡を脇にあった棚に置き、顔を覆う邪魔な手を掴んで無理やり引き剥がした。

「やっ………!」
「ッ……………!!」

りんごのように紅く染まる顔に、恥ずかしげな表情。
長いまつ毛は影をつくり、形の良い口が微かに震えている。


ああ、本当に可愛い。
やっぱりオレ、お前の事が好きだ。

そう伝えられたらどれだけ楽だろう。


抱きしめたくなるのをグッと抑えて、オレよりも低い位置にるの頭をぽんぽんと優しく叩いた。


「、オレはお前のこと嫌いじゃないぜ」
「…………だ、だから、なんだよ………」
「お前のこと、嫌って離れたりしねえ。約束する。だから、友達になろうぜ」


「………………………そ、そこまで、言うなら…」



「よっしゃ!じゃあメルアド交換しようぜ」

仕方ねえな、と言いながら携帯を取り出しメールアドレスを交換した。
全ての動作がぎこちなく、ああ、こういうの慣れてないんだなと理解した。
そこで、自分の中から妙な独占欲のようなものが湧いてくるのを感じた。



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