第3章 友達
「千冬、お前に絡んだってマジ?」
「あ?悪いかよ」
2限目の休み時間。
眠気を払おうと顔を洗いに水道に行くと、去年同じクラスだった友人に話しかけられた。
「何イライラしてんだよ!
俺はの事小学校の時から知ってるからさ。意外だったんだよ」
「あー、あいつ昔から一人でいた感じ?」
「うん、いやまあ、そうなんだけどさ。
あいつ、不登校だったんだよ」
「え?」
意外だった。
他人から好かれはしなくとも、そんなこと気にもとめず自分を貫き通すようなやつだと思っていた。
「とにかく変わってたんだよね、アイツ。
昔はそんなに口悪くなかったのに、途中から人が変わったように態度悪くなって」
「途中からって」
「小3くらいからかな。ちょっと騒いだりしただけで"頭が痛いから静かにして"っていうもんだから、過敏すぎてウザイって嫌われてたんだよ。
そんで多分、口悪くなったんだろーな。
で、小5から不登校になったんだよ」
『うるせえ』
ことある事にそれを口にしていたの姿が脳裏をよぎる。
「……そう、なのか」
「だからさ、お前がに絡んでるって聞いてビックリしただけ。他意はねーよ」
「…………」
本人のいない所で、知られたくなかったであろう過去を知ってしまった。
オレから聞いたわけではないが、なんだか悪いことをしてしまった気がして仕方なかった。