第3章 友達
「松野………千冬…………」
風呂から上がり、ソファーでくつろぎながら携帯の画面をみる。
『お前のこと、嫌って離れたりしねえ。約束する。だから、友達になろうぜ』
優しく頭に触れられたのを思い出して、くすぐったくなる。
何故松野は、俺に近づいてくるのだろう。
普通なら嫌うだろうに、それに特段仲良くなるようなキッカケだってなかったはずだ。
「………信じてみようかな」
その時、突然携帯が震え体ごと跳ね上がる。
松野からのメールだ。
ドキドキしながら、開く。
From:松野千冬
(件名なし)
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よ!今なにしてんの?
「ッ……………」
初めて貰った、友達からのメール。
例えようがないほどに嬉しい。でも、なんて返したらいい?こういうのは、すぐ返してもいいのだろうか。なんて打ったらいいのだろう。
嬉しさ、驚き、混乱、色んな感情が溢れて仕方がない。
To:松野千冬
件名:こんばんは
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お風呂に入って、ソファに座ってたよ。
「こ、これで…いいの、かな………………」
ドキドキと心臓を昂らせながら、初めての返信を送った。
すると一瞬で向こうからの返信が届き、驚く。
慣れてるやつはどんなスピードで文字を入力しているんだ。
From:松野千冬
Re:こんばんは
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件名可愛いな(笑)
髪ちゃんと乾かしたか?
風邪ひくから髪濡れたまま寝るなよー
「…ぷっ、なんだそれ。保護者かよ」
To:松野千冬
Re:Re: こんばんは
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うん。わかった。
ちゃんと乾かして寝る。
松野も、暖かくして寝ろよ。
「…………………」
文面だけど、会話が続いてしまった。
楽しい。メールが帰ってくる度に、読むのが楽しくて仕方がない。
「………ふふ」
明日も学校、楽しみだな。