第22章 伝える①
「あー、クソ…。オレが怒ったからだよな」
「……ああ、そうだよ。チッ、せっかく楽しみにしてたのに、どっかの間抜け面がいきなり怒るから」
「おお、久々の暴言……。悪かった、ごめんな。でもオレの気持ちもわかってくれるだろ?」
「……」
「確かに過保護かもしれねーけどさ、お前のこと心配してんだぜ?オレといるのに無理なんかすんなよ、そういう事は正直に言ってほしい」
「………別に我慢して無理してたとかじゃねえよ。ただ、楽しくて、夢中だった。ちょっと頭痛かったけど、浮かれすぎて体調悪いの気づかなかっただけだ」
「……」
「……千冬、花火すげぇな。綺麗だ。テレビで観るよりずっと。
なぁ、連れてきてくれてありがとな。お前と二人で来れて、ホントに幸せだ」
「ッ…!」
そんなこと。
そんな顔で、言うなよ。
「千冬?…………!?」
柔らかい頬に手を添えて、その小さい唇を奪う。
もっと、もっとしたい。
「ん、んんっ……!」
逃げようとする唇を何度も、何度も深く追いかけ啄むように重ねる。
甘い。どこまでも溶けそうな程に甘くて、熱い。
ゆっくりと唇を離せば、銀色の糸が伸びてプツリと切れた。