第22章 伝える①
「しんどかったらすぐ言えっていったよな。なんで言わねーの?」
「べ、別に平気だって」
「そんな真っ青な顔して何が平気なんだよ」
「………」
やはり無理をしていたようだ。体調が悪くなっている自覚もあった。
じゃあ、言ってくれなかったのは何故だろう。頼りないから?それともオレに気を使ったのか?
どちらにせよ、オレは自分が祭りを楽しむことよりが健康でいる事の方がよっぽど大事だ。
「そんな怒ることないだろ……。お前、ちょっと過保護すぎんだよ」
「……あ?」
今度は確実に怒気を含んだ声が出た。の肩がビクッと跳ねる。
火に油を注ぐとはまさにこの事で、他に言い方ってものがあるだろと思った。
「ッだから、お前なんでそんなすぐキレんだよ!」
「なんでキレられてんのかわかんねーのかよ」
「っ………なんなんだよ…クソっ、意味わかんねぇ……」
そう忌々しそうに呟き、俯いた。彼の顔に影が落ち、表情はわからない。
お互いそれ以上は何も言わず、ただただ重たい空気が流れた。
ちらりと横目でを見る。普段とは違う彼の装いをみて、一緒に浴衣を選んだ時の事がふと蘇った。
目尻を下げて微笑み、色違いの浴衣を喜んでくれた。
その浴衣を身にまとい、髪をお母さんにやってもらったと恥ずかしそうに姿を見せてくれたのは数時間前の事。
「(浮かれてたから、かもな…)」