第21章 大渦の中心で溺れて死ぬ
「おーい千冬!」
「ん?おお、タケミっち!」
聞きなれた声に振り向けば、そこには相棒がいた。そのとなりには、彼の大切な彼女の姿もあった。
「あれ、君この前の」
「……あぁ、あの時の不良か」
「や、やぁ。元気?」
返事はせず、ぷい、と顔を逸らした。
なんでこいつはタケミっちにこんなに冷たいのだろう。いや、忘れかけていたがそもそもこれがこいつのデフォルトだったな。
「なんなんだよコイツ!」
「ったく…ごめんなタケミっち。基本的にこうなんだよ。オレも最初ボロカス言われたぜ」
「え、そうなのか?」
「まあな。なぁ。タケミっちはこう見えてもスゲーんだよ。たまに突っ走りすぎるとこもあるけど、そこ含めて尊敬してるんだ。仲間のために誰よりもまっすぐぶつかってける。自分より強えやつでも、デケェやつでも卑怯な事しないでやり合える。マジでカッコイイんだぜ?」
もタケミっちも、これからオレが生きていくうえで大切な人になるだろう。に関しては、また別の意味もあるが……。
とにかく、にはタケミっちとも友達になって欲しい。むしろ友達として紹介できるのはタケミっちくらいだ。タケミっちはヒナちゃん以外に目移りすることもないだろうからそういう面でも安心できる。とりあえずオレなりにタケミっちの株をあげてみようという作戦だったのだが。
「ッ……あっそ!!だから!?俺だって、カッコイイとこあるし……!!」