第18章 知ってたまるか
ついにこの学校の高嶺の花が告白したらしい。相手は千冬。
めでたくビッグカップルの誕生と思いきや、なんと千冬はその告白を拒んだという。
この事はあっという間に知れ渡り、生徒達の間で大きな話題となった。
「マジ信じらんねえ。なんで振ったんだよ!」
「千冬羨ましすぎるわー」
「好きじゃねーのに付き合っても仕方ねえだろ」
机に座り読みかけの本を開きながら、教卓あたりで友達と談笑する千冬を見る。
オシャレで、イケメン。有名な不良で、喧嘩が強い。際立って目立つ存在だ。高嶺の花に告白されたのも納得できる。
こうして客観的にみると、改めて本当に自分がそばにいていいのか疑問に思ってしまう。
にしても、なぜ断ったのだろう。あんなに可愛い子滅多にいないというのに。
「ってかオレ、好きな人いるから」
千冬のあまりに衝撃すぎる爆弾発言。
一瞬にして、シン、と教室がしずまりかえった。
「…え、え?お前好きな人いんの!?」
「おう」
「いつから!!」
「今年」
「誰!!」
「ナイショ」
再び教室に喧騒が訪れる。みんな千冬の好きな人が気になるのだろう。
ていうか、千冬、好きな人いるんだ。
俺、知らなかった。