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【東リべBLD】君の鼓動を旋律に【松野千冬】

第2章 君の瞳は





「……お前自身は、オレの顔どう思うんだよ」
「はぁ?ナルシストか?まぁ、イケメンだよお前は。
あーうぜぇ、こんな事言わせんなよ」

その一言に。
たったそれだけの言葉に、鼓動が加速する。
ああ、今絶対情けねぇ顔してる。

「てか眼鏡返せ」
「今は無理」
「はぁ!?テメェ!」
「他のやつに見せんなよ」
「え?」




「お前の顔。オレ以外に見せないで」


何言ってんだ、オレ。


「何言ってんだお前」
「…」
「ブスすぎて迷惑かかるからって事かよ、嫌な奴。はやく眼鏡返しやがれ」
「いや、なんでそうなるんだよ」
「じゃあそれ以外にどんな意味があんだよ」
「………今は言えねえ」
「はぁ?」
「けど、眼鏡外すなよ。オレの前ならいくらでも外していいから」
「あーーーわかったわかった、わかったからマジでそろそろ返せ」

流石に可哀想になってきたので、そっと眼鏡をかけてやる。
耳に差し込んだときに伏せ目がちになった表情に、思わずドキッとした。

「ふぅ、視界がクリアだ…っておい、もう授業始まるじゃねえか!早く戻るぞ!」
「別に少しくらい遅れたって平気だろ」
「馬鹿!時間守らねえと他の人に迷惑かかるだろーが!」

この短時間でについて、分かったことがある。
自分の事をやたら過小評価しているところ。
口は悪いが、根は真面目で悪いやつではないところ。

「んじゃ、ちょっと走るか」
「わっ!お、おい!廊下は走るなよ!」
「遅刻したらまずいんだろ?お前ノロそうだしオレが引っ張ってやる」

ギャーギャー騒ぐの腕を掴んで、教室まで走る。予想通りノロい。


ああ、幸せだ。
幸せすぎて教室に辿り着きたくないと思った。




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