• テキストサイズ

【東リべBLD】君の鼓動を旋律に【松野千冬】

第14章 優しき一日を




休日。

「おい、テメェ何するんだ。大事なコンクールの前に俺が怪我したらどうするつもりだ」
「え、あ…ごめん。ていうかお前も前見てなかっただろ!」
「ふ、二人とも落ち着いて!」

ヒナとデートをするため渋谷の街にやってきた。
休日の渋谷は人が多いから多少の人との接触は良くあることだが、今回は派手にぶつかってしまい相手が尻もちをついてしまった。
すみません、と手を差し伸べると、その手を叩き払われ、「この野郎、痛えじゃねえか」と言い放たれた。

「はあ、最悪だ。だから渋谷は嫌いなんだ。大切なお守りが汚れちまったらどうしてくれんだこのチンピラ野郎」
「それこそチンピラが言うセリフだろーが!」

顔は眼鏡でよくみえないが、体は華奢だしキチッとした小綺麗な身なりも不良にはとても見えない。顔は眼鏡でよくわからないが、最初男か女かわからなかったくらいだ。
そのくせ口の悪さは不良並。
今日もまた変なやつに絡まれてしまった。

「まあまあ二人とも、ぶつかったのはお互い様ってことで、ごめんなさいして仲直りしよ?」

ヒナが間に入ると、急にそいつはしおらしくなった。

「ま、まあ…君がそう言うなら……」
「おい、ヒナはオレの彼女だぞ!」
「は!?ばっ、何勘違いしてんだよ!俺は子供とお年寄りと女性には優しくしろって口酸っぱく親から言われてるんだよ」
「…お前口悪いけど実は結構いいやつだろ」
「は!?勘違いしてんじゃねえ!!」
「いやなんでそこでキレるんだよ!」




「おい…お前ら何してんだよ」



声のした方へ振り向くと、声の主が呆れ返った様子でこちらをみていた。



「「あ、千冬」」
「え?」
「あ?」
「お前、千冬と知り合いなの?」
「あー、なるほど。不良仲間か。お前弱そうだったからわからなかった」
「んだと!?」

さっきから一々一言多いこいつは、どうやら千冬の知り合いだったようだ。

「で、待ち合わせ場所にいねぇと思ったらなんでタケミっちとが喧嘩してんの?」
「タケミっち…?…ああ、こいつの事だったのか」

どうやらオレのことを知っているらしい。


/ 103ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp