第10章 はじめてのお泊まり編③
「……綺麗な顔」
「お前に言われたかねえよ」
「褒めてんの?」
「ああ、ムカつくほどかっこいいよ」
「、これからお前のこと名前で呼ぶから、お前も名前で呼んで」
「………なんか恥ずかしいな」
「なら、練習しようぜ。」
「…………千冬」
「…」
「…千冬」
「」
「ぶふ、千冬」
お互い名前を何度も呼びあってるのがなんだか面白くて、くすぐったくて、笑ってしまう。
「」
「ん、千冬、俺、もう寝ちゃそう」
「いいぜ、おやすみ」
「ん……おや、すみ………」
「……………愛してる、」
意識の糸が切れる瞬間、そう聞こえて、唇になにか触れたような気がした。きっと、勘違いだろう。
いつからこんな臆病になったんだろう、オレは。
「……………愛してる、」
が眠りにつく瞬間、そう囁いて唇にキスを落とした。
何もつけていないのにしっとりと潤っていて、柔らかい。
どうせオレとこいつの気持ちが通い合うことなんてない。
それなら、これくらいしても許されるはずだ。
「…場地さん、オレどうしたら……………」
もしあなたが生きてたら、なんて答えてくれますか?
『バーカ、男なら当たって砕けろ!』
そういって、あの太陽みたいな笑顔で背中をバシッと叩いてくれるのだろう。