第7章 すごいやつ
「すげぇ喜んでたな、"ママ"」
「マジで殺すぞお前……あと、来ていいってさ」
「おう、会話丸聞こえだったぜ」
「え…………」
ボッと林檎のように顔を赤くして、恥ずかしげに俯いている。
「お前なぁ。反応が一々可愛すぎなんだよ。
が女だったらオレ絶対告白してたぜ?」
「俺が女でもお前だけはごめんだけどな」
その言葉に若干顔がひきつる。
女だったらなんて都合のいい嘘。
オレは今のお前が好きだ。
この気持ちを伝えられる時が、いつか来るのだろうか。
それとも、一度も伝えないまま友達でいるのか。
将来こいつに彼女ができて、結婚した時には、きっとパーティに呼ばれるのだ。
「それだけは絶対嫌だ」
「何言ってんだお前。そんなに俺と付き合いてえのか」
「違ぇって、いや違くねえけど、そうじゃなくて」
「おい、お前本当に大丈夫か?ちょっと落ち着け」
自分でもテンパってるのを理解して、落ち着こうとする。
そうこうしてる家に、昼休み終了10分前のチャイムが鳴ったのでようやく冷静になれた。
「やべぇ、全然食えてねえ…!」
「おー、待っててやるから早く食え」
急いで弁当を頬張り、ハムスターみたいな顔になったを見て、この関係を壊すくらいなら、誰にも悟られぬよう気持ちに蓋をして、いつまでもこうしていたいと切に願った。