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【東リべBLD】君の鼓動を旋律に【松野千冬】

第7章 すごいやつ





そんなこんなで、いつものようにと音楽室で昼飯を食う。

ピンと伸びた背筋、綺麗な箸の持ち方、上品な仕草。どう見てもどこぞのお坊ちゃんだ。そういえば、こいつの家の事をオレはあまり知らない。

「なあ、今度お前の家行ってみたい」
「え」
「駄目なら無理にとは言わねーけど」
「あ、いや、違う、そうじゃねえけど。お母さんに聞いてみないと。俺、家に人呼んだことないから……」
「……わかった」

そうか、こいつは友達を家に招いた事がないのか。だから勝手が分からないのだ。

「い、今電話して聞いてみる」
「今かよ!行動はえーな。親家にいんの?」
「ああ、今日はいるはず……」

無駄にソワソワしながら携帯を取り出し、数回ボタンを押した後耳に当てる。静かな音楽室では、携帯から僅かに漏れた発信音がよく聞こえた。


「あ、もしもし、ママ。あのさ、お願いがあるんだ。うん。今度さ、その………学校の友達、家に呼んでもいいかな」

そういうと、電話の向こう側から悲鳴ににた女性の高い声が聞こえた。

『と、と、友達!?家に!?やだ、ほんと!?ママ嬉しいわぁ!!お菓子焼いて歓迎しますって伝えて!!今その子はいるの!?』
「と、隣で弁当食べてるけど…とりあえず、わかったから落ち着いて。じゃあ、今度連れてくね」
『パパも喜ぶわよぉ、やだ、ママ泣きそう…!!良かったわね!!』
「うん、ありがとう。それじゃあ、ご飯食べてる途中だったから、またね。」

通話を終え、小さく息をつき再び食事を再開する。


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