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【東リべBLD】君の鼓動を旋律に【松野千冬】

第7章 すごいやつ










「はぁ……疲れた………」
「お前笑えるほど運動ダメだな」
「……………うるせぇ」


四限の体育の授業が終わり、着替えを済ませ教室に戻る。

「くん、いるかな?」

教室の入口から、教頭の声が聞こえる。

「はい。今行きます。」

が手を挙げ、こちらに目を向ける教頭。
一瞬オレと目が合い、驚いたような顔をした後にすごく嫌なものを見てしまった顔をされた。
優秀な生徒の横に不良生徒がいたらそりゃそうなるか。にしても顔に出すぎだ、ハゲ。

が教頭のもとに行き、教室の入口で会話を始める。

「今日の放課後、月刊クラシカルの記者さん達がいらっしゃるみたいだから。写真撮影とインタビューらしい。
音楽室にお連れするので、君も放課後音楽室に来てくれ」
「はい、わかりました」
「本当に、君は我が校の誇りだよ」
「そんな…ありがとうございます」
「うむ。それじゃあ、またな」
「はい」

出来のいい生徒を目の前にして満足そうな笑みを浮かべ、ハゲはその場から去っていった。
もパタパタとこちらに戻ってくる。

「、雑誌載るのかよ!すげーじゃん。この前新聞にも載ってたよな?」
「ん、そうみたいだな。それより飯食いにいこうぜ」

本人はなんでもない風に言うが、実際は凄い。

この間の音楽の授業。
先生から渡された合唱伴奏の楽譜を、読む時間すら与えられないままその場でサラッと弾いてのけた。それどころか、勝手にアレンジを加え華やかな伴奏に変身させていた。
『は将来絶対クラシック界のスターになるから、今のうちにタダで聴いておけよ』と先生が楽しそうに言っていたのを思い出す。


ちなみに。
ここだけの話、先程話に出した新聞はの記事の部分だけ丁寧に切り取って保管している。


「おい松野……聞いてんのか」
「え?ああ、聞いてる」
「へえ、じゃあ俺が今なんて言ったか答えてみろ」
「俺松野のこと愛してるんだ」
「死ね」





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