第6章 形の違う「好き」
5限終了の鐘が鳴る。
既に教師が退室した教室内に、の手を引いて入る。
「おお、千冬おかえり!先生にはうまく言っとい「お前ら!全員よく聞けよ」
「ちょ、ちょっと…松野………」
眼鏡越しでもわかる、不安げに見上げてくる。
そんな可愛い顔で、何が女扱いするなだ。
言ったら怒られるのは目に見えてるので、ニコりと安心させるための笑みだけを送る。
「絶対音感ってお前らも聞いた事あるだろ。
こいつ、そのせいでお前らが周りでゴチャゴチャ騒ぐと頭が痛くなったり体調悪くなるんだよ。
だからって騒ぐなとは言わねえ。
でもこいつのそういう事情は知っといてやってくれねえか」
を庇うように一歩前に出て、クラスメイトに語りかける。
これから卒業までは嫌でも一緒に過ごすことになる。だからこそ言う必要があると思った。
「絶対音感ってオレ知ってる」
「やっぱりくん絶対音感持ってたんだ、すご…」
「千冬、事情はわかったよ。
、今まで悪かったな」
自分が声をかけらると思っていなかったのだろう、後ろでビクリと反応し、オレの服を握りしめる。
「え!えと…………その……………ま、松野っ…」
「大丈夫だよ、。コイツらに言いたい事あったんだろ?」
「…………………その………」
オレの後ろに隠れたまま出てこないの肩をそっと抱きながら、隣に立たせる。
「ほら。大丈夫だから、言ってみな」
「あ…………………
さっきは、ごめん……あんな事言って、悪かった………………」