第1章 出会い
「おい、大丈夫か?」
振り返り、に声をかける。
強がってはいたが、怖かったのだろう。手が震えていた。
「こんなとこいたらまた狙われるぜ、早く戻れよ」
「うるせえ」
「は?」
今、なんて
「お前も不良だろ。さっきのヤツらと同じくせに偉そうにするなよクソ野郎」
そう言い放ち、立ち去って言った。
オレは混乱していた。
助けてやったのに、嘘だろ?
しかもだ。
この学校で、オレ相手に暴言を言ったやつを見たことがない。
「……………何なんだよアイツ」
そんな訳で、への印象は最悪だった。
3年の夏。
東卍は解散した。
そして場地さんはもう、いない。
『音楽部よりお知らせです。
3年2組くん。
中学生全国ピアノコンクール史上初の三連覇です。』
今年もあの放送が流れ、教室内がザワつく。
あれ以来、結局と話すことはなく、2年ではクラスが別になった。
そして3年。再び同じクラスになる。
今日はその全国コンクール当日で、は大会のため欠席しているらしい。
そして速報の校内放送。
へえ、三連覇ね。それは良かったな。すげーすげー。
「、三連覇ってすげーよな」
「まあすげーけどさ、天才は変人ってよく言うけど、アイツはまさにそれだよな。何考えてんだかわかんねぇ」
「なーなー、今度話しかけてみようぜ!」
「えー、やだわ!あいつ根暗だし」
「っていつも一人だよな」
「友達いねーんだろ、あんな性格だし」
の噂話、もとい陰口が耳に入り、勝手に心の中でうんうんと頷いた。
『お前も不良だろ。さっきのヤツらと同じくせに偉そうにするなよクソ野郎』
突然2年前の事がフラッシュバックし、無性に腹が立ってきた。
「あ゛ーーー!!」
「ち、千冬!?」
「大丈夫か!?」
今度一発殴ってやる。