第6章 形の違う「好き」
「うるせえっつってんだよゴミ共!!!お前ら全員俺の前から消えろ!!!!」
叫んで、ハッとした。
まただ。また、昔と同じだ。
「お前らほんっと仲良くなったよな」
昼休み。
食事を終えと教室に戻るなり、クラスメイトに声をかけられた。
「なーなー、どういう接点なの?」
「え?なになに?私もその話気になる」
実は自分も気になってました!と言わんばかりに教室内の奴らが続々と集まりだす。
当のはというと、そんな奴らを無視して自分の机に着席。何処までも孤高なやつだ。
「……ほんと愛想ねーのなあいつ」
「そういう奴なんだよ。でも悪いやつじゃねーぜ?かわいいとこあるし」
「へえ!私実はピアノの事とか色々聞いてみたかったんだ!
ねぇアンタ、ちょっと話しかけてみてよ!」
「えー、オレぇ?」
「いいね!みんなで話しかけに行こうぜ!」
「お、おい!お前らちょっと待て!」
オレの制止も虚しく、周りにいた人集りがどんどんの方へと移っていく。
この時点で嫌な予感しかしない。
「なぁ、お前なんで千冬と仲良くなったんだよ!」
「オレらとも仲良くしようぜ!!」
「もしかして不良にカツアゲされたとこ助けてもらったんじゃね!?」
「バカだなーお前!漫画の読みすぎたろ!」
「くんってピアノいつからやってるの!?」
あいつはオレらと同じくこの学校に入学して3年目だというのに、まるで転校初日に質問攻めにあってる生徒だ。
「…………………ぇ」
周りの奴らのせいでほとんど掻き消されたが、が何かを言った。何を言ったかは、わからない。でも一つだけわかることがある。
はあいつらを歓迎していない。
「え?なんか言ったか?」
「お前らの声がうるさくて聞こえなかったわ!」
「えーなになに?なんて言ったの!?」
「だからうるせえってお前ら!」
流石に見てられない。
「おい!いい加減に」
ドンッ!という音にオレの言葉が遮られる。
が机を叩きつけながら、勢いよく立ち上がった。
「うるせえっつったんだよゴミ共!!!
お前ら全員俺の前から消えろ!!!!」