第1章 医務室にて。 ポピー ~恋の予感~ ★?
【Side 1146番】
少ししたところで2355番の寝息がまた聞こえてきた。
気持ちよさそうな、すぅすぅと規則正しい寝息、無防備すぎるだろう。
少しため息がこぼれてしまう。こんなにも可愛らしいのに、今まで何ともなかったのが不思議なくらいだ。
メガネすらかけっぱなしで寝てしまって...メガネが歪んでしまうぞ。
起きてしまわないようにそっとメガネを外して元の机の上に置いておく。
「はぁ」とまたため息をついた1146番。
それもそのはず、服の交差している部分が少しはだけてしまっていて、隙間から透き通るような美しい肌とともに、下着が見えかけている。
「無防備すぎるぞ」とぽつり1146番はつぶやいて、恐る恐る肌に触れてしまわないように、また直してあげる。
理性が保てなくなるからこれ以上はお願いだからやめてくれと心の中で懇願した矢先、2355番が腕にしがみついてくる始末。
「あいつらが居れば何とかなるのだが。」
二人きりの状態がまずあまりないため、こんなことがこの状態で起こったことはなかった。
二人きりだからか、なおさら理性が保てなくなっている。
かなりまずい。
キスがしたい。触れ合いたい。でも、お互いの了承の上でなければ、取り返しのつかないことになるのは分かっているだろう。だが、このままではきっと、勢い余ってしてしまうかもしれない。ここは冷静に冷静に。
1146番の心の中は彼女によってどんどんもみくちゃにされていく。
「んん、どしたの1146~」
一瞬起きたのかと思って目を向けて見るが、彼女は瞼を閉じたまま...
まさかの寝言。
「ん、いいよ~、好き、大好き~むにゃむにゃ」
いったいどんな夢を見ているんだ。
それにしてもかわいい。
って.....................
好き?大好き?1146番?いいよ?
???
もう、だめだ...
キスだけだ、たった一回きりの、そう軽いキスだけだ。本当はダメだが、がまんできん。他のコトもしてしまいそうだ。
意を決して目をつむり、彼女の頬に手を当てて自分の顔を近付けていく。
ーちゅッ
甘いリップ音。
本当に軽い、触れるだけのキス一つ、顔を一人真っ赤にした1146番。やって、しまった...。
しばらく自分の口に手を当てて呆然と突っ立っていた。
