第16章 ギルと一緒に異世界満喫してきた!(ギルベルト)
ドドドドドド!
騒音の中でギルの声が聞こえた気がする。全く聞き取れずギルを見ると、ギルの方から私の手を握ってくれた。ひやりとした手にほっと息をつく。
赤いヒーローは手から赤い弾を放っていた。緑の光の弾から私たちを守ってくれいるようだ。
再び暗闇になったかと思うと、乗り物は急ブレーキをかけた。出口の明かりが懐かしい。
「は、はは……怖かったです……」
「浮遊感にぞわっと来たね。でも俺は楽しくて仕方なかったな。」
ギルは今も私の手をしっかりと握ってくれている。小鹿のように震える足を鞭打って立ち上がった。
「よかったらここに座って休んでくださいねー」
傍にいたスタッフさんが、箱風の置物に誘導してくれた。恐らく私のような人間のために作られたベンチだ。
「情けなさすぎます。自分から乗ろうって言ったのに……」
「ふふ。強がるあなた、可愛かったよ? 俺もまだドキドキしてる。」
「ギル以外に震えさせられるなんて、いいんですか?」
「よくないけど黙ってたのに。」
ギルの気遣いにじーんときた。
「次は怖くないやつに乗ろう。あなたがテレビで見た才女と野獣はどう?」
「乗ります! 震え収まったのでいつでも行けますよ!」
「調子がいいんだから。」
ずんずんとギルの手を引いて、外に出た。