第16章 ギルと一緒に異世界満喫してきた!(ギルベルト)
カンカンと照り付ける日差しの中、私たちははるばるネズミーランドにやってきた。今日の気温は三十度。立派な残暑だ。ギルは黒シャツに白ズボンと、夏らしい涼しげな格好をしている。ちなみに二人とも日傘と日焼け止めはばっちりである。特に暑さに弱いギルが心配だったが、ギル曰く日傘で体感温度はかなり下がるらしい。日陰で助かる命がある。
「あ、早速あそこにミッミーが! ギル息切れしてないで見てください。あそこです! 」
「え? ああ、うん。いるね……」
まだネズミーランドのエントランスだというのに、ギルは早くもはあはあと息を切らして花壇の縁に座ってしまった。傾いてきたギルの日傘を私が持ってあげた。
とりあえず、と一緒にカプセルタイプの酔い止めを飲む。ギルは水をがぶがぶと飲んで虚空を見つめているが、一応目はミッミーの方を向いている。
「仕方ないですね。私の肩を貸してあげますから、写真撮りに行きましょう。」
「嫌だ。かっこよくないでしょう?」
「長年一緒にいたら、そのうちかっこ悪い部分も見ますから。」
ギルは大きく息を吸って立ち上がり、私の手を取って歩き出した。意地でも自分で歩きたいようだ。本当に大丈夫だろうか。
私たちに気づいてくれたミッミーは手招きをしてくれた。近くのスタッフさんにカメラを預けると、ミッミーが両腕を広げた。ハグだ。笑顔で私も両腕を広げる。
「はっ!」
首がもげそうな勢いで振り返ると、ギルは眉間に皺を寄せて歯を食いしばっていた。