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イケメン王子1口サイズ小説集

第12章 You're my other half(シュヴァリエ)


時間の進みが遅かった土日は過ぎ、月曜日はなかったかのように飛ぶように過ぎ、火曜の夜になっていた。今日はしっかり風呂に入って疲れを癒してからベッドに入ったのだが、

「眠れない……」

ベッドに入って二時間が経つというのに、未だに頭が冴えている。仕事を頑張りすぎてスイッチが切れていないのだろうか。枕元に置いた手紙を見つめながら、ぼんやりと考える。

「いや、明日も仕事だ。寝なきゃ。寝なきゃ、寝なきゃ……」

――コンコン

「ベル、おはよう!今日のモーニングティーはローズティーだよ」
「あれ……リオ」
「どうかしたの?」
「あ、ううん。もう朝かと思って」

私は寝ていたんだろうか。寝た気がしないが、朝らしいので体を起こした。ふとリオを見ると、真顔で見つめられている。

「今日はあんまり眠れなかった?」
「そうかも。頑張りすぎて逆に頭が冴えちゃったのかな。」
「きっと、疲れすぎてたんだよ。今日は自分の仕事だけするようにしてみたら?シュヴァリエサマの仕事もやってるのは自分の意志なんでしょ?」
「そうだけど、やっぱりしたいな……」
「じゃあ俺がシュヴァリエサマの仕事をしちゃおうかな。ベルは頑張り屋さんだから、普通の人よりもちゃんと休まなきゃ。」

これではシュヴァリエ様にも心配をかけてしまうかもしれない。私の意志を尊重してくれるリオに感謝し、シュヴァリエ様の仕事を任せた。

その日の夜も眠れなかった。そしてその次の日も、そのまた次の日も――

『眠れているか?俺は眠れてはいるが、周りがいつにも増して俺に怯えている。貴様がいなければ気が立つのでな。眠れないなら、周りを頼れ。貴様には未だに何でも一人で頑張る癖があるだろう。貴様が残ると言わなければ頼られるのは俺だったはずなんだがな。』

昼に届いた二通目の手紙を読み返し、ため息を吐いた。いつも通りシュヴァリエ様は私を見ていなくても見えているようだ。リオに言われて仕事量は減らしたが、シュヴァリエ様と離れて丁度1週間経った頃から眠れていない。私は寂しいのかもしれない。
とはいえ、もう深夜一時だ。頼ろうと思ってもこんな時間に人には頼れない。どうしたものか。

コンコン

見計らったかのようにノックの音が響いた。
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