第12章 You're my other half(シュヴァリエ)
「つ……かれた……!」
バフッとベッドに飛び込み、凝り固まった肩を揉みながら風呂を明日にするかどうか考える。
「とりあえず、シュヴァリエ様の香水の匂いを嗅ごうかな……」
いつものようにシュヴァリエ様の香水を枕にプシュッと付け、顔をうずめる。やはり世界一素敵な香りだった。
あ、そういえば!と、ガバっと起き上がり、昼に届いたシュヴァリエ様からの手紙をポケットから取り出した。相変わらずタイトルはない。
『息災か?聞くまでもなかったな。貴様のことだ。俺の公務にまで手を出して疲労困憊にでもなってるのだろう。前にも言ったが、婚約者が倒れる様を見たいと思う男はいない。真の意味の愚鈍でないならば、わかるな?』
何度見ても息を呑むほど流麗な文字だ。そして今回も見透かされていたことに少し笑ってしまう。倒れてはいないので、多分大丈夫だろう。枕元に手紙を置き、もう一度枕に顔をうずめた。
お風呂に入って疲れを癒してぐっすり寝て、土日はちゃんと休もう。
そう決めながらいつの間にか寝ていたようだった。