第1章 夏の思い出
前を歩くなまえちゃんの後に続き行き話しかける
「なまえちゃんさ個性、テレポート?」
「そうですけど」
「桟橋、個性使えば上がれたでしよ?」
オレの手を借りずに個性をつかえば上がれたのにそれをしなかった事が気になっていた。
そう言うと少しだけ間が空いてポツリと喋る
「自分の体重プラス1キロぐらいまでがテレポート可能な重さ」
「そうすると、水に半身が入ってると触れてる質量が多いから出来ないのか…なまえちゃん軽そうだからオレはテレポートさせられないか…」
「高鳥さんは私より重そうだから難しいですね」
「ふーん」
興味なさそうに答えれば、また気まずい間が開く
次に口を開いたのはなまえちゃん
「な、なんで、名前で呼ぶの?」
恥ずかしそうに耳まで赤くして思いがけない問いかけに笑ってしまう
「だって、ばぁちゃんがそう呼んでたし…オレ、名前聞いてないし」
そう答えるとハッとしたように振り向いて
「みょうじ なまえっ」
「じゃあ、なまえちゃんだね」
「なっ!!」
耳まで赤るなまえちゃんは反応が面白くてつい揶揄ってしまう。
「高鳥さん、何歳ですか?」
「ん?今18歳だよ?」
「…誕生日が来て18歳?」
「誕生日来たら19」
「同じ歳だ」
「嘘でしょ?」
思わずヘラリと笑うとなまえちゃんはまた唇を尖らせ鳥の嘴のようになる。
拗ねる時の癖なんだろうか…?
「なんで嘘つく必要があるんですか?」
「見た目が…中、高校生ぐらいかなーっと」
「今、中学生って言いませんでした!?」
「あ、お風呂ここ?じゃありがとう」
話を途中で切り上げてなまえちゃんからタオルを受け取り脱衣所に続く扉を潜ろうとする
「ちょっと!」
「え?一緒に入りたいの?」
クスリと揶揄うように笑えばまた声を荒げて
「違います!!」
そう言ってプリプリと去っていく。
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