第1章 夏の思い出
太陽の日差しが眩しくて目を細めた
木々の緑がキラキラ輝いて
気温を上げる蝉の声
海の水面が光を反射して
沢山の色を見せてくれる
どこまでも続く水平線
その上にある入道雲
夏。
と言う事を感じる要素しかない。
この島は綺麗だ。
桟橋に座って海側へと足を投げ出して
ただひたすら水平線を眺める
悪意など無さそうな島なのに
オレが派遣させられている。
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気だるそうに背中を丸めて歩く
見慣れたスーツ姿の人。
嬉しくなってフワリと少しだけ浮いて声をかける。
「目良さん」
「ああ、ホークス…お疲れ様です」
「今日はクマが一段と凄いですね」
「…仮免の時期が近いので」
「オレの時は楽だったでしょ?」
「ええ、まぁ、参加者が君以外落ちて補講が大変でしたけど」
昔を思い出したのか目良さんの顔が青くなりぶつぶつと自分の世界に入り込もうとする。
それを遮るように言葉を続け
「ところでオレに用事ってなんですか?」
「ああ、君に任務をと頼まれまして…」
「オレにですか?」
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渡された書類には島の地図と事件の資料のみ。
桟橋に座って地図を広げる
後ろからバタバタと音が聞こえ身構える。
振り向くと同時に横をすり抜ける
人の影。
空中に浮かべばカメラのシャッターを下ろしたくなる
ほど綺麗なシーンだ。
視線だけしか追い付か無い
少女の影が落下していき
バシャンと海から水飛沫が飛ぶ
「何してっ」
慌てて立ち上がって続く様に海へと飛び込む
ヒーローのサガ
自分の身につけているモノなどどうするかなんて
それは後回し。
暑い日差しを受けていた事もあり
海水がやけに冷たく気持ちよく感じる
海へ飛び込めば水中に広がる光景に目を奪われた
透き通った水中
目の前に広がるイロトリドリな魚
綺麗な珊瑚
その中にひらひらと舞う
白
驚いたようにこちらを振り向いて
ニコリと微笑む
「(海に飛び込んだのか、冷静に考えればわかるよな)」
そう感じて水面から顔を出せば、
また、暑い日差しに反射する光
続くように、水面から顔を出す少女
「落ちたんですか?」
間抜けな質問に苦笑してしまう。