第1章 夏の思い出
「降りられるか?ホークス」
「平気です」
「ジーニストの肩おとなしく借りとけ」
「高すぎるけん、掴み辛い…1人で歩けます」
そう言ってタクシーから降りてよろよろと入り口に向かって歩けばエンデヴァーさんがまた声をかけてくる
「ホークスお前は、なまえとやらに早く会いにいけ」
「行けませんよ…今更…格好悪く縋ってしまうだけですよ」
そう言うとミルコの耳がピクピクと動く
「何かが来るぞ」
「敵か?」
目の前にノイズが走る。
オレのアパートの入り口の前がザザッと乱れ
ストンと地面に足をつく女性。
あたりを見回し手元にある紙を見て何度も建物を確認をしている…
「ホークス…あの個性から察するに…」
「早く行けよ、ホークスッ告白しろっ!!」
「早く行ってやれ」
3人の嬉しそう会話に一歩下がって逃げ出そうとしてしまう。それなのにがしりと体を掴まれて動けないようにされて。
「オレ、行けません」
辛うじて出せた言葉はこれだけ、そこに現れた女性がなまえちゃんだなんて確信はなかった。
それでも、本当は駆け出したいほど嬉しいのに…自分勝手に終わらせたあの夏に囚われて。
なまえちゃんが先に進んでいたらと考えると思い出まで消え失せるような気がして動くことが出来なかった。
それなのに、この3人はオレの体を無理矢理引きずって女性へと近づける。
「そこの女性少し良いですかな?」
ジーニストサンさんの声かけに女性は驚いた顔をする。