第1章 夏の思い出
あの夏と同じ表情。
左手で恥ずかしそうに髪の毛を耳にかける姿。
ああ
声なんて聞かなくても分かる
「なまえちゃん」
観察する悪い癖。
左手の薬指には何も無い…
「ほ…ホークス?」
また、驚いた顔。
手を伸ばして髪をかけた左手を掴み引き寄せる
力強く抱きしめて
顔を寄せる
「嫌なら…止めて」
その言葉になまえちゃんの瞳が揺れて
涙が溢れる
「そんなの、卑怯だよ…」
その言葉に
あの夏の日を思い出して
また、胸が締め付けられる
「ごめん」
と返して
震える体と手を握って涙をこぼすなまえちゃんのオデコに唇を触れさせてキスをする
「すいとーよ…迎えに行かなくてごめん」
なまえちゃんは頭をブンブンと振る
涙を拭ってあの夏と同じ笑顔でオレを見て
「熱愛報道多すぎ…待つの何度もやめようと思ったよ。あの夏に囚われてるのは…私だけ?」
その言葉に首を振った
――――――