第1章 夏の思い出
目的地は町外れの廃工場…今日の昼間オレが忍び込んだ場所だ。
重要な書類はオレのスマホの中だった。なまえちゃんと会ったあの日全ての書類はびしょ濡れになり乾燥させた後画像で残して後は自分の手で処分してあったからだ…
スマホをスッスッと操作をしてポケットへと戻し工場へと向かった。
―――
「こんばんは、酷いことしてますね…その子、解放して貰っても良いですか?」
フワリと地面に降りて、そばにいた男の手を捻りあげる。
なまえちゃんは数人の男に囲まれて1人の男に馬乗りになられてた。綺麗に着付けられていた浴衣は抵抗で暴れたからなのか、考えたくは無いが乱暴されそうになった事を物語っているのか着崩れている。
顔は涙でグシャグシャだ…
剛翼を男達の喉元へと突きつけ、言葉を続ける
「抵抗した場合は容赦なく攻撃します」
「高鳥くんっ!!ばぁちゃんはっ!?」
「喋ってんじゃねぇっ!!」
振り上げられる手に
なまえちゃんの叫びに近い声が響く。
その後に、続く男の叫び声と鈍い音…流れる血に響くなまえちゃんの悲鳴。
最速でなまえちゃんを救助する。
「ごめん、なまえちゃん…怖かったよね」
「た、高鳥くん…あなた、誰なの?」
不安を宿した目から視線を逸らし敵へと向けて羽を動かし敵へと近づく。
「答えてよ…」
消え入りそうなその呟きを無視をする。
敵の1人が感情が昂っているのか笑い言葉を発する
「お前、本当に知らないのかよ…コイツのこと“高鳥”って思ってんのか…はっ…ははっ」
「だまれ…違法薬物所持、精製…そして婦女暴行の罪でお前らを逮捕する。もう、逃がさない」
その瞬間に扉が開き警察がなだれ込み男達を押さえ込み手錠をかけていく。