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夏の思い出

第1章 夏の思い出


「なまえー!」

なまえちゃんを呼ぶ男の声。その声になまえちゃんは反応してまたノイズを走らせる。
離れた位置で取り残されるオレ。
がたいがいい男と笑顔で話をするなまえちゃんの顔を見て、今まで見せてくれた笑顔はオレだけに見せるものじゃないと気がついてしまう。
フツフツと沸き上がる変な感情、否定しているのはオレなはずなのになまえちゃんが嬉しそうに知らない男と話をしている事が嫌だと感じてしまう。


面倒くさい感情。


なまえちゃんが、がたいがいい男を連れてきて嬉しそうにオレに紹介をしてくる。
普段なら、礼儀正しく取り入るように挨拶をしただろうけど、今のオレはそれを出来なかった。
お面をつけたまま良くない態度で対応してしまう。

「はじめまして」
「高鳥くん、このお兄ちゃんはね、前は近所に住んでたんだよ、裏の家のさ…」
「へー…ハジメマシテ」

その態度をみて目の前のガタイが良い男は勝ち誇るように笑いなまえちゃんの肩を掴む
またモヤモヤ。

「ばあさん達から聞いた。都会から来てる格好いいヤツってお前?…年上にちゃんと挨拶もできないとか態度悪すぎんだろ」
「お兄ちゃん!!」
「すみません、態度悪くて…まぁ、お互い様ですよね」

そう煽るように言うと男はオレの胸ぐらに掴みかかる。
オレなら勝てると思っての行動なんだろうな…

「お前…今挑発したよな?」
「そうですか?…そんな事なかったんですけど。ああ、すみませんなまえちゃんとお祭り来たかった感じですか?」
「テメェ…お面外せ、表情見せないのは、どうせビビってるからだろ?」

その言葉に思わず鼻で笑ってしまう。
右手でお面を外してニコッと笑う

「すみません。全然怖がってなくて…」
「へぇー。余裕あるな?」

「お兄ちゃん!やめてっ」

なまえちゃんが胸ぐらを掴む手に縋りついて焦った声で男を止める。

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