第1章 夏の思い出
「はぁ!?っ何言ってんの!?」
「えっ?」
「高鳥くん、それは違うよ。守りたいものがあるなら…その守りたい人と同じ目線で見ないと…きっとその人だって高鳥くんが笑ってくれる方がいいに決まってる!!笑ってよ!少なくとも私は高鳥くんが心の底から笑ってる姿が見たい!!」
そう言ってハァハァと肩で息をする、なまえちゃん。深呼吸をしてさらに言葉を続ける
「見た目格好いいしきっと守りたい人も笑ってる高鳥くんみたらそれだけで幸せになるよっ、普通の生活しちゃだめなんて人だったらそんな人辞めなよっ!!高鳥くんは高鳥くんなんだから自分の幸せを第一に考えていいんだよっ!!」
捲し立て上げられる言葉、その言葉一つ一つがオレを恥ずかしくさせる。
なまえちゃんは大きな勘違いをしているけど、
あまりの恥ずかしさにまた口元をに手を置いて俯いてしまう。
「もう、それ以上話さないで…」
「どうして!?高鳥くんの良いところなら沢山言えるよっ」
「違う…恥ずかしいからこれ以上はちょっと…」
顔が赤くなっている自信は有る。
暗闇なのに月明かりのせいで明るく見えてオレの表情と顔の赤みはなまえちゃんにはきっとよく見えているだろう。
「えっ…いやっ…そのっ」
つられて顔を赤くしてなまえちゃんはオレから視線を外して頬を両手で包み込む
「あのさ、オレ…お祭りやっぱり行ってみたい」
ポツリとつぶやいたオレの言葉になまえちゃんは表情を明るくして“うん”と頷く。
なまえちゃんの背中、膝へと手を回して横向きへと抱え上げる。
「えっ!?わ、私テレポート出来るからッ」
「オレが一緒に行きたいんだよ」
「逃げたくせに」
「ごめん…オレがお金全部出すから許して」
「許すっ!豪遊するぞー!」
その言葉に一瞬自分の財布の中身に不安になる。
けれど降り立った時にある屋台の値段を見た時に安心をしたのはここだけの話だ。