• テキストサイズ

夏の思い出

第1章 夏の思い出




―――立ち上がりグラスとスイカが乗っていた皿をお盆に乗せて台所まで運ぶ。

「高鳥くん、私がやるよ?」
「いいよ…これくらい、せっかく可愛いのに汚したら困るでしょ?」
「…」

黙るなまえちゃんの隣でコップと皿を洗う。水の流れる音と共に泡が排水溝に溜まっていく…

「よし、お祭り行こうか」
「…うん」

玄関まで歩いてスニーカーを履く。


「ばぁちゃん行ってくるね…お土産買ってくるからね」
「はいよ、行ってこーし。たかちゃんもなまえちゃん迷子にならないように守ってあげてね」
「ならないよっ」
「大丈夫だよ、ばぁちゃんなまえちゃんが迷子になってもオレが見つけるから」

「なら、安心だね…」


草履に足を入れるなまえちゃん。
なれない履き方に立ち上がる時に蹌踉めきそれを支えてあげる。
手に触れて、触れた指先が熱い。


「大丈夫?」
「平気、ごめん」

なまえちゃんは目を合わせてくれなくて体制を治してカラリと音を立てて歩き出す。
会場は、神社だと言う。真っ直ぐ伸びる道に少し離れた距離で横並びで歩く。
車があまり通らないので2人でど真ん中を歩く。田舎ならではの特権だ

「高鳥くんは優しいね」
「んー。まぁ、困ってる人を見ると無視できないのは有るかもね」
「…そうだよね、だって町に行けば高鳥くんに助けて貰ったって話よく聞くしおばぁちゃん達ファンクラブみたいになってるし」
「本当?アハハッ、田舎のアイドルだ」
「本当アイドルだよ…高鳥くん、お祭りって経験ある?都会にもあるの?」
「あー…実はさ、オレ初めてなんだよね」

その言葉になまえちゃんは目を丸くして驚いた顔をして、すぐに笑顔に戻って

「高鳥くんにお祭りの楽しみ方私が教えてあげる」
「よろしくお願いします、先輩」

/ 31ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp