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【東卍】I ris 【if】

第1章 4月


放課後、いつも通りの日常である部活動が部長の一声で終わりを告げる。

その日、買い物の予定があった私はぐっと伸びをして片づけを始めた。

「千夏、今日はもう帰るんだな。」

いつもは遅ェのに。と笑顔を見せる三ツ谷くん。
いつもは三ツ谷くんと一緒に居たくて少しだけ時間オーバーして帰宅している。

「うん、買い物に行きたくて。」

「ふーん。俺も買い物あるし一緒に行ってもいいか?」

「あっ…、うん、いいよ!ばぢ、場地も呼ぶ予定なんだ!」

「は?場地?」

片付ける手を急がせ、それが終わると場地に連絡するからと廊下へ出て電話をかけた。

送ってもらうくらいの短い時間ならまだ大丈夫。
だけど、長めの時間二人きりなんて、何を話したらいいかもわからなくなってしまう。
つまり、…恥ずかしい。

無機質な音が途切れると、目当ての人物の声が聞こえた。

「どうしたー?」

「場地!!ペヤング買いに行こう!!」

「は?なんで急に…。めんどくせぇから買ってきてくれるなら話くらい聞くぞ。」

いつも、ペヤングをもって場地宅へ行けば、私の恋愛話が始まる。
女友達もいいが、三ツ谷くんをよく知る仲間に話を聞いてもらうことが一番だと思っているからだ。
ドラケンは、二人きりになるのはエマに申し訳ない。
マイキーは、すぐ寝る。
千冬は、可愛い。
たけみっちには、ヒナがいる。
ぺーやんとぱーちんは、アホすぎる。
つまり、白羽の矢が立つのは場地しかいない。

そんなこんなで相談事とでも思ったのだろうが、今日は少し訳が違う。


「だめ、ダメなの。一緒に行こう!!!!」

「なんだ、俺とデートでもしてぇのか?」

「バカじゃないの?」

私の気持ちを知っているくせに、そんな冗談を言う場地。でも、そんな冗談言っている余裕もない。

「千夏、場地くるって?」

「くる!!くるって!!渋谷駅集合ね!」

片付けが終わったであろう三ツ谷くんの声を聴いて、場地も察したのか、そういうことかよ、というつぶやきが聞こえた。
まだ返事ももらっていないのに、くる、と言って集合場所を伝えると早々に切ってしまった。

場地のことだから、来てくれる…はずだ。
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