第2章 5月
2泊3日の2日目。
今日はみんなで商店街を歩くことになった。
朝の弱い人達も、みんなで出かけるという楽しみに眠気は飛び、ハイテンションである。
商店街までの道のりは遠くないので、みんなで歩いてきた。
私も三ツ谷くんの隣を…歩きたい気持ちは山々だけど、三ツ谷くんの隣は桜が陣取っていた。
そりゃそうだよね。恋する乙女は強いものですから。
あれ、私弱くない?
なんて思い、私の隣を歩く男の顔を見る。
私よりも身長が高くて、金髪で、子どもっぽいところと大人びたところを兼ね備えた男。
松野千冬だ。
私の隣を千冬が歩くのは珍しい。
「場地のところ行かなくていいの?」
「あー…、今日は千夏さんの隣がいいっつーか…」
私が急に問いかけると、ほんのり頬を染めて目を逸らす。
こういうところが可愛いというか、犬っぽいというか…。
「そっか。まぁ、私も気が紛れていいけど…」
「?なんか言いました?」
「なんも!」
三ツ谷くんの後ろ姿を見ながらぼそっと呟いた言葉をうっすらと拾った千冬が問いかけるが、別に何度も言うほどのことでもなく、首を振ってごまかした。