第2章 5月
風呂から上がると、夕飯をみんなで済まして布団の場所取り合戦が始まった。
布団が枕側を中心にして、5枚ずつに分かれ向かい合って敷かれている。
「…どこで寝る?」
マイキーの一声で、みんなの表情は真剣そのものになる。
「ヒナは端っこね。」
タケミっちはいつも弱々しいのに、さすがヒナのこととなると頼もしいものである。
ヒナを一番端の布団に連れて、その隣に自分が陣を取った。
「エマ、こい。」
「え?」
ドラケンもエマの腕を引き、反対側の端にエマ、その隣に自分が寝るよう陣を取る。
エマは驚きつつも嬉しそうだった。
「「「千夏(さん)」」」
「…はい?」
そして…つられるように私の名前を呼んだのは、三ツ谷くんとマイキーと場地と千冬。
4人は私を真ん中にして睨み合い、私はというとどうしていいかわからずにキョロキョロしてしまう。
「あ、あの!三ツ谷くん…、私の隣で寝てくれませんか…?」
それを見て声を上げたのは桜だ。
「だってよ、三ツ谷。」
「三ツ谷くん、ほら…。」
「三ツ谷。」
上から場地、千冬、マイキーがしたり顔で三ツ谷をせかす。
「…あー悪いけど、」
「み、つやくん、声かけてもらえてよかったね!」
断ろうとしてくれたのかもしれないけど、今、桜に私が三ツ谷くんを好きだとばれてしまっては、この休みが地獄と化してしまう。
うまく笑えているかはわからないけど、泣きたい気持ちをぐっとこらえ、ちゃんと三ツ谷の顔を見て言った。