第2章 5月
ー三人称Side
一方、男湯でも女たちと同様に露天風呂へゆっくりと浸かっていた。
こちらは下心満載で、誰が言うわけでもないが女の子の話を聞きたいと、柵を挟んですぐ女湯である露天風呂で息をひそめていた。
そして、待ちに待った会話だ。
『エマちゃん、ドラケンくんとはどんな感じなの??』
『うぇ!?…うーん、相変わらずかな。ウチのこと、ちゃんと見てほしいんだけど…。』
『なになに!?エマちゃんはドラケンくんが好きなの!?』
『あー…、うん、まぁね。』
「だってさ、けんちん。」
「うっせ。」
当の本人は知らないふりだった。マイキーにぼそ、っと声をかけられると、少し複雑そうに、プイっとそっぽを向いてしまう。
『うまくいくといいね!』
『うん。…そういう桜ちゃんは好きな人いないの??』
『えー!?うん、まぁ…、いるよ。』
『『へー!だれだれ!?」』』
『えっと…、三ツ谷くん…かなっ』
そんな桜の声に男たちの視線は、三ツ谷へと集まった。
「…見んな。」
「いーじゃん。三ツ谷。お似合いじゃん。」
気まずそうにこちらも顔を逸らすが、チャンスとばかりにマイキーは三ツ谷にすすめてくる。
「俺も好きな人がいるから。でも、あいつじゃねぇよ。」
わかってんだろ? 三ツ谷の目はまさにそう言っているようだった。