第2章 5月
「まずどこいくー?」
「やっぱ露天風呂でしょ!」
それぞれ体を洗い終わりエマと桜がハイテンションで会話をしているところを、私とヒナは見守りながらついていく。
テンション高すぎて転ばないといいけれど。
露天風呂は3種類ほどあった。
大きいお風呂が二つと釜のお風呂が3つ連なっているもの。
ちらほらと人がいて、ゆっくりしている様子だったけど、
大きいお風呂の一つが誰もいなかったため、私たちはそこに入ることにした。
でも、私たちはそこが柵を挟んですぐが男風呂であることに、気が付いていなかった。
「温泉きもちー!!」
「ほんとだね。」
お風呂の中でエマとヒナがぐっと背筋を伸ばす。
私も肩までつかり、一息ついた。
まだ5月ということもあり、外は肌寒いが少し熱めのお湯が芯まで温めてくれる。
しかし、それも束の間の休息である。
ここから私の防衛戦が開幕を告げるのだった。
「エマちゃん、ドラケンくんとはどんな感じなの??」
「うぇ!?…うーん、相変わらずかな。ウチのこと、ちゃんと見てほしいんだけど…。」
「なになに!?エマちゃんはドラケンくんが好きなの!?」
「あー…、うん、まぁね。」
ヒナに急に会話を振られてビックリするエマだが、ちゃんと現状を教えてくれる。
そして、それに喰いつくのは桜。
私はあまり話を振られたくないので、そっと背中を向けてみた。