第1章 4月
「落ち着いて!」
私はマイキーの、エマはドラケンの前に立ち二人を止める。
ドラケンに睨みを利かせるマイキーの胸をぐっと押し、ドラケンから離そうとすると、マイキーはじっと私を見つめる。
「…ん?」
視線に気づいた私が首をかしげると、マイキーは満足そうに笑みを見せた。
「そんなに俺とハグしたかった?」
「なっ!!違うでしょ!!!!」
私の腰に軽く腕を回して抱くマイキーの胸を、今度は軽くたたいた。
「あっ、ドラケンだー!」
「マイキーも!ラブラブしてるー!」
ふと、声のする方を見ると、三ツ谷くんと手をつないだ妹のルナちゃん、マナちゃんがこちらを指さしていた。
私の思考は一瞬で冷めていく。
側から見れば私は抵抗しているとはいえ、マイキーにハグされているも状態だ。
そんな姿を三ツ谷くんには見られたくない。
さっきよりも強くマイキーの胸を押すが、それに反してマイキーの力は強くなり、片手で私の腰を、もう片手で私の頭を自分に寄せた。
「いーだろ。」
「なにが?」
「なっつんのハグ。」
「マイキーが無理矢理してんだろ。千夏が困ってんぞ。」
マイキーの胸元に顔を押し付けられているようなものなので、二人の表情は私には見えないけど、三ツ谷くんがマイキーに突っかかるなんて珍しすぎて驚きだ。
「マイキー離してやれー。」
「「はなしてやれー!」」
ドラケンにも言われ、ルナちゃん、マナちゃんに喧嘩する様子を見せるわけにもいかず、マイキーは私をそっと離してくれた。