第1章 4月
ーマイキーside
「まって、片付けが…」
「そんなの後でいーじゃん。」
俺は片付けを焦るなっつんをベンチに座らせ、太ももに頭を乗せてゴロンと横になると、目を閉じて寝息を立て始めた。
まだ微睡む俺の癖のある髪に指が絡まらないようにそっと撫でる手が気持ちいい。
正直、なっつんが作る料理を食べられて満足はしていた。でも、なっつんから他の男の名前なんて聞きたくない。
多分、三ツ谷の事だから俺への牽制も兼ねてわざと一緒に弁当作った。
仲間だったからこそ、それが分かってしまう。
俺が一緒にいたぞ、俺と一緒に料理したんだぞって、俺に伝えてるんだ。
三ツ谷もなっつんを好きなことには気づいていたけど、譲る気は少しもねーよ。
今日は、今は俺だけのなっつん。
これからも、俺だけのって言えるようにー⋯
ーマイキーSide end
「お、なっつんじゃん。」
「あれ、ドラケン!と、エマも!」
「よっ」
マイキーを膝の上にのせたまま少し時間を過ごしていると、ドラケンが声をかけてきた。
大きい体の後ろからは、エマがひょこっと顔を出してきた。
どうやらデートらしい。
「マイキーはまた寝てんのかよ。」
「マイキーらしいけどね。」
二人は私の膝で眠るマイキーを呆れたような、でも暖かい目で見ている。
マイキーは弟みたいで可愛い。だからこそ、きっと今は目が覚めてドラケンたちを見たら(邪魔されたー!)って、怒るのかななんて思ってしまう。
が、時すでに遅し。
「なんでいんの?」
思った通り、少し不機嫌になって伸びをしながら起きるマイキー。
「たまたま通りかかったんだよ。」
「は?だからって俺らの邪魔していい理由にはなんねー。」
「あ?やんのかコラ。」
「上等だ。」
私とエマを他所に喧嘩が始まってしまうが、こんなのいつものことである。