第1章 4月
会話をしながらお弁当を食べ進めていく。
「マイキーのほっぺにお米ついてる。」
「ん?」
マイキーの口の端についたお米を見つけ、指でそっとお米を取ると、私の腕をマイキーがつかむ。
「あ、ごめん。…っ!?ちょっ…、」
マイキーは私の指についたお米を見ると、そのまま自分の口へと運んだ。
お米を食べた後も、そのままちゅっと音をたてながら指をなめるマイキーはなんだか色っぽくて背中がぞくっとする。
「まい、きーっ、」
「ん、ごちそうさま。」
「もー…」
子どもっぽいと思えば、こうやって大人な顔も見せてくるマイキー。
そりゃ、モテるよなぁなんて思いながら、恥ずかしくて顔を逸らした。
「あのさ、コレ一人で作ったの?」
「え?」
「卵焼きとか、前三ツ谷が作ってくれたのと同じ味。」
「あ、あぁ…。」
マイキーもただ食べてただけじゃないんだなって、当たり前なことを思ってしまう。
というか、意外と味にうるさいのかも?
「で、一人で作ったの?」
「あっ、ううん。昨日三ツ谷くんが家に泊まったから、朝手伝ってくれたの。」
「ふーん。俺はなっつんの弁当が食べたかった。」
「マイキー…。うん、私が悪かったよね。ごめんね。」
「そう思うなら、こっち来て。」
またぷくっと頬を膨らませるマイキーだけど、私が素直に謝ると、また優しい笑顔を見せてくれる。
マイキーは立ち上がって私の腕を引くと、ベンチに座らせた。