第1章 4月
騒がしい場所は嫌だと、浮かれた宴会を横目に少し離れたところまで桜を見ながらゆっくりと歩く。
桜の木が少なくなってくると、自然と人も少なくなっていった。
少ないながらもチラホラとある桜の木の下の空いたベンチを見つけて座った。
上には桜、前には池。少しは人もいるが、落ち着いた人が多く、下品な笑い声は聞こえない。騒がしいのは子どもくらいで、騒音とは思わない。
葉の揺れる音や、池の鯉に餌をやる子どもの声。自然な音が多く心地よい。
「俺さ、バイクで騒ぎながら花見はしたことあったけど、こんなにゆっくり花見するのは初めてなんだよな。」
「そうなんだ。でも、私もかもなー。花見なんて、登下校でするくらいだったかも。」
「なぁ、弁当食べようぜ。」
時刻はまだ11:00を指していた。
お昼にするには少し早い。
「まだ11:00だけど…、まぁいいか!たべよう!」
少し考えたが、こんな時まで12:00を待つ必要はないと思い、了承した。
ベンチの上では食べにくいから、と芝の上にシートを敷き、弁当を広げる。
「そんじゃ、いただき…「あーまって!」」
マイキーが挨拶をしようとするところをさえぎると、「なんで?」と少し不機嫌になってしまった様子。
でも、それを超えるテンションを私は引き出すことができる!!
お手製の東卍の小さい旗を卵焼きの一つにピッと指した。
「旗だー!!」
マイキーの瞳は子どものようにキラキラ光り、テンションはMAX。
こういうところは、高校生になっても変わらず、くすっと笑ってしまった。