第1章 4月
あれから三ツ谷くんと一緒にお弁当を作り終えてすぐ、解散した。
三ツ谷くんは、おふくろがオフだからルナマナと遊びに行くって。
本当に家族思いの男の子だと感心する。
私はというと、マイキーと待ち合わせ場所の公園へと向かっていた。
公園の入り口からは、もうすぐ桜も散り始める頃というのもあるのだろうか、桜の下でどんちゃん騒ぎをする人たちがたくさん見えた。
「なっつんおはよ。」
「マイキー。おはよ!マイキー早起きできるんだね…。」
「何それ。俺だってもう高校2年生だぞ。」
ぷくっと頬を膨らませて言う姿は、まだ幼さを残しているようにも思う。
「それ、貸して。」
「私持てるよ?」
「いいから。」
でも、こうやって重そうな荷物を持ってくれるところは、頼れる男の子だ。
マイキーは右手にお弁当や飲み物が入っている荷物、左手に私の手を取り歩き出した。
「マイキー…私子どもじゃないからはぐれないよ?」
「…は?何言ってんの?デートなんだから手つなぐの当たり前じゃん。」
「え・いや、デート!?」
マイキーは私にとっての友達であるのに、そんなマイキーからデートと言われて驚いてしまう。
それが気に食わなかったのか、マイキーの瞳からは光が消える。
「違うの?」
「イエ…違わないデス。」
あ、これ否定しちゃダメな奴だ。
否定したらきっと拗ねる。
長いこと友達やっている私は直感的にそう感じて肯定すると、マイキーは「だよね。」と満面の笑みで歩き出した。