第2章 小さな村での夜のこと
―――…
先程から胸に置かれた手が、
撫でるという行為から揉む方へと変わった。
時折小刻みに動き出す指先に、布越しから掻くように刺激され 体をよじらずにはいられない。鼓動もバクバクと煩くて 触れられてはいない下腹部までが 疼いて疼いてジクジクする。
……… …
「 あ… あのっ、」
落ち着いたしっとりとした声で「なんだ?」と聞き返され、後ろの謙信様へ少しだけ顔を向けた。
「 あの、わたし…… そのぉ…」
上体を起こして片肘を付いた謙信様が、言い淀む私を見下ろして先を促す。
「 …わ わたしっ、 しっし、しししっ」
「 死? ――死ぬと申すのか?!」
「しっ! 処女ですっ!!」
「!!」
言いながら赤面してしまう。
ああ もうっ、
言葉のチョイスが酷すぎる。
もうちょっと『…初めてなんです』とか、マシな言い方はなかったのだろうか…… って、
あれ? …なぁに? この感じ。
謙信様が美しいお顔で微笑んでいらっしゃる。
「 そうか。」
それはそれは優しい微笑みをたたえ、私を見下ろしていた。予想外になんともくすぐったい空気になった次の瞬間、この人は信じられない言葉を吐いた。
「痛みに歪むお前の顔が見れるのか。」
……ぇ
ちょっと今、鬼畜的な台詞が聞こえのは気のせいでしょうか?
「 苦痛に泣き叫ぶのだろうな…」
えっ、誰が?
「それでもいい。俺の存在を刻みつけたい。
――…ここに。」
…ヤバいぞ。この人ヤバい人だ。
やる気マンマンだぁ――!!
私の下腹部をゆっくり撫でながら 優しい笑顔で鬼畜発言する戦国武将が怖すぎる。
色の違う目が その色を濃くしたように感じた瞬間、口の中に熱いものを突っ込まれた。
食べられているようなキス。
酸素をもとめて喘ぐように首を振れば、身動き出来ないように腕で顔を囲われた。絡めて舌を吸われ、上顎を刺激され、喉元まで侵入されるような苦しさから 擽られるような感覚まで、延々と口づけられる。
「…っまっ、待ってっ 少しだけっ」
ひたすら鬼畜な謙信様のリードで口づけられ 酸欠状態の私がやっとの思いで声をあげれば、嬉しくて飛び跳ねそうな顔を上げ甘い声で見当違いな事を言ってくる。
「――またそんな顔をして… あまり煽ってくれるな。」
……
こっ、コワッ。