第2章 小さな村での夜のこと
日が暮れる前に 少し寒かったけど井戸から水を汲んで体を綺麗にする事ができた。さっぱりして気持ちいい。
この三日間、歩いて馬に乗っての繰り返しだった体の疲れがホッと一息つくようだ。あともう少しでお城に着くというし、一晩休んだらまた頑張れそう。
――暗くなってくると謙信様が火を灯してくれた。
何故だか火を着けながら、こちらへ流し目を送ってくる謙信様が色気をだだ漏れさせている。心なしか胸元の着物もはだけて… いや、あれははだけ過ぎじゃないか?灯火にゆらめく謙信様の姿に 喉の奥がゴクリと鳴ってしまった。――これは良くない…目の毒だ。
―――……
……
おかしいな?
おかしいな… と思ったのだ。
――私が奥の部屋へ布団を敷くと、謙信様は横へ並べて敷いた。 んっ? とは思ったけれど、謙信様の様子は至って普通、何か言えば逆に私が意識しすぎみたいな空気になりそうでスルーした。 タイムスリップした時点でもう平常時ではなかったし、布団を壁一枚隔てて敷こうが敷きまいが、今の私には大差なく思えてしまったのだ。
―――……
「――…謙信様おやすみなさい。」
「……」
灯りを消しても、月の明るい夜だった。
ウトウトと瞼が落ちてきて、
私は直ぐに眠ってしまったようだ。